ABSTRACT 1097(P4-4)
口腔扁平上皮癌細胞株における染色体異常の分染法及びペインテイング法による解析:鵜沢成一1,2,吉田光明1, 赤沼大輔2, 天笠光雄2, 池内達郎1(1東京医歯大・難治研・遺伝疾患,2歯・一口外)
Molecular cytogenetic study of human oral squamous carcinoma cell lines: Narikazu UZAWA1,2, Mitsuaki A. YOSHIDA1, Daisuke AKANUMA2, Teruo AMAGASA2 and Tatsuro IKEUCHI1 (1Div. of Genet., Med. Res. Inst., 21st Dept. of Oral Maxillofac. Surg., Fac. of Dent., Tokyo Med. and Dent. Univ.)
ヒト口腔扁平上皮癌 (OSCC) では3番及び9番染色体短腕部 (3p, 9p) にLOH (loss of heterozygosity) が高頻度に認められることから,これらの領域に発癌・進展に関わる抑制遺伝子の存在が想定されている.研究を推進する上でOSCC由来の培養細胞株は貴重な試料であり,我々もこれら細胞株における3p, 9p領域の分子遺伝学的解析を行ってきたが,DNA レベルでの 欠失や関連遺伝子の発現異常の機序を知るためには各細胞株における染色体構成についての情報も不可欠である.ここでは5種類のOSCC細胞株を対象に核型分析をし,とくに3番及び9番染色体の異常をペインテイング法により解析したので報告する.その結果,全ての細胞株に3p, 9p領域の端部欠失や不均衡転座による欠失が認められた.また,6番染色体長腕の欠失も全細胞株に認められた.これらの解析結果とこれまでに得た分子遺伝学的解析結果とを対比し検討したい.