ABSTRACT 1098(P4-4)
SKY/DAPI解析およびG分染後SKY解析を用いたMDSにおける染色体異常解析:嘉数直樹1,谷脇雅史2,堀池重夫2,阿部達生1(1京都府立医大・衛生, 2京都府立医大・第三内科)
Cytogenetic analysis of chromosomal aberrations in myelodysplastic syndrome (MDS) using SKY/DAPI and SKY after G-banding approach : Naoki KAKAZU1, Masafumi TANIWAKI2, Shigeo HORIIKE2, Tatsuo ABE1 (1Dept. Hygiene, Kyoto Pref. Univ.Med.,2Third Dept.Med.,Kyoto Pref.Univ.Med.)
[目的]Spectral karyotyping(SKY)解析とは染色体ペインティングプローブを用いたただ一回のFISH解析で同時に24種類のヒト染色体全てをおのおのに固有のスペクトルに基づいて識別し24色で表示して核型解析する方法である。今回、従来のSKY解析をさらに進展させて同一核板で分染バンド像との対比ができ、より精度の高い染色体解析を可能にすることを目的として、DAPI分染バンド像も同時に検出できる方法(SKY/DAPI解析)やG分染染色体標本を脱色したのちSKY解析を行う方法(G分染後SKY解析)を検討した。またこのSKY解析を用いてMDSの染色体異常を解析し新しい知見を得ることを目的として研究を行った。
[対象と方法]MDS症例とその細胞株を対象とした。ASI社のSKY検出キットを用い、同社の分光システムSD200で解析した。SKY/DAPI解析はDAPI専用フィルターでDAPI蛍光像を取り込みバンドエンハンスメント画像処理した。G分染後SKY解析ではG分染標本にキシレン・カルノア処理し脱色後SKY解析を行った。
[結果と考察]SKY解析により、分染法では同定困難であった付加染色体片やmarker染色体の由来が同定でき、MDSで高頻度にみられる5q-の多くがただ単なる欠失ではなく、種々の染色体(3,7,8,12番)に転座して由来不明の染色体片を構成していたことを明らかにした。さらにSKY/DAPI解析により同一の核板でかつ同時にSKY像と並行してほぼG分染像に匹敵するDAPIバンド像を検出でき、転座染色体の由来の同定のみならずバンドと対応づけられた切断点や欠失領域の同定も可能となった。これにより5q-の切断点が5q11.2,5q13,5q22,5q33に多いことも同時に明らかにした。G分染後SKY解析は1年間保存後の染色体標本でも可能であった。