ABSTRACT 1102(P4-4)
末梢血管拡張失調症(AT)由来細胞におけるミニサテライト配列の安定性:今井裕1、小松賢志3、杉村隆2、長尾美奈子2、中釜斉2(国立がんセ・研・1発がん、2生化、3広島大・原医研・放基)
Minisatellite stability in AT-derived fibroblast cells: Hiroshi IMAI1, Takashi SUGIMURA2, Minako NAGAO2, Hitoshi NAKAGAMA2 (1Carcinogenesis Div., 2Biochemistry Div., Natl. Cancer Center Res., Inst., 3Dept. Rad. Biol., Res. Inst. Rad. Biol. Med., Hiroshima Univ.)
昨年本学会総会に於いて、SCIDマウス細胞ではミニサテライト配列(MN)変異が高頻度に起こることを報告した。SCIDマウスの原因遺伝子DNA-dependent protein kinase触媒サブユニット(DNA-PKcs)とATの原因遺伝子であるAtaxia - telangiectasia mutated (ATM) はともにPhosphatidylinositol 3-kinease (PI3K)ファミリーに属する。今回AT由来細胞株におけるMN変異について検討を行った。
[方法] ヒトAT由来細胞株AT5BIVA及びヒト第11番染色体の導入により放射線感受性の相補されたAT#11-4をそれぞれサブクローニング後、DNAを抽出・HinfIによる切断後アガロース電気泳動を行い、MNプローブPc-1、33.6及び33.15を用いたDNAフィンガープリントを行い、変異バンドをもつクローンを検出した。
[結果と考察]MN変異は、AT由来細胞株AT5BIVA及び相補細胞株AT#11-4のそれぞれ1/11及び1/7のクローンで認められたのみで、MNの不安定性は見られなかった。SCIDマウス由来の細胞では約半数のクローンに変異が見られる。DNA-PKcsとATMはともにPI3Kファミリーに属し、DNA傷害に対する情報伝達に関与している。しかしSCIDマウス細胞とAT細胞ではMN安定性が異なっていた。今後、MN不安定性の分子機構を解明していく。