ABSTRACT 1105(P4-4)
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肝細胞癌の進展に及ぼすp53及びhMSH2遺伝子異常の解析: 矢野将嗣1,2、浅原利正1、土肥雪彦1、岩元奎介S2、瀬山敏雄2 (広島大・2外、放影研・放生部)

Analysis of p53 and hMSH2 mutations in the progression of hepatocellular carcinoma: Masatsugu YANO1,2, Toshimasa ASAHARA1, Kiyohiko DOHI1, Keisuke IWAMOTO2, Toshio SEYAMA2 (1Dep. of 2nd Surg., Hiroshima Univ., 2Dep.of Radiobiol., Rad.Effects Res. Found.)

[目的]遺伝性非腺腫性大腸癌におけるミスマッチ修復遺伝子の異常が明らかにされてきたが、肝細胞癌におけるミスマッチ修復遺伝子異常は今だ不明である。近年、p53遺伝子はミスマッチ修復遺伝子であるhMSH2遺伝子のプロモーター領域に結合して、hMSH2遺伝子をupregulateすることが示されている。そこで、ミスマッチ修復に関与するp53及びhMSH2遺伝子の変異と肝細胞癌の進展について検討した。[方法]肝切除を施行された肝細胞癌38症例の癌部及び非癌部のDNA抽出を行い、p53及びhMSH2遺伝子の異常をPCR-SSCP法、Direct sequencing法を用いて解析を行った。[結果]p53遺伝子には、5例にミスセンス変異、1例にナンセンス変異を認めた。hMSH2遺伝子には、7例にミスセンス変異を認めた。p53及びhMSH2遺伝子変異を重複してもった症例はなかった。p53もしくはhMSH2遺伝子の変異を認める群をA群、p53とhMSH2遺伝子の両方に変異を認めない群をB群として臨床病理学的検討を行った。A群には、腫瘍径2cm未満の症例は1例も認めなかった。また、A群には門脈侵襲及び肝内転移がB群に比べて著しく高い頻度で認められ、予後はA群はB群に比べ明らかに不良であった。肝細胞癌において、p53のみでなくhMSH2遺伝子の変異は癌の進展に強く関与していることが示された。