ABSTRACT 1156(P4-7)
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卵巣腫瘍におけるhepsinおよびSCCEの発現:谷本博利、重政和志、Timothy J.O'Brien (麻田総合病・産婦、広島大・医・産婦、アーカンソー大・医・産婦)

Expression of hepsin and SCCE in ovarian tumors : Hirotoshi TANIMOTO1, Kazushi SHIGEMASA2, Timothy J. O'BRIEN3 (1OB/GYN., Asada General Hosp., 2Dept. of OB/GYN., Hiroshima Univ., 3Dept. of OB/GYN., Univ. of Arkansas for Med. Sci.)

[目的]proteaseは癌の浸潤、転移に重要な役割を果たす。Differential Displayにより卵巣癌において過剰発現が認められたprotease遺伝子のうちsubcloningで同定されたhepsin、stratum corneum chymotriptic enzyme (SCCE)について卵巣癌における発現を解析し、癌の生物学的特性ならびに診断、治療における有用性を検討した。
[方法]手術材料よりmRNAを抽出し、RT-PCR法によるsemi-quantitationおよびNorthern blot法により正常卵巣ならびに卵巣腫瘍におけるhepsin、SCCEのmRNA発現を解析した。また、immunohistochemistryにてその蛋白局在も検討した。
[結果]low malignant potential tumor12例中7例(58.3%)にhepsin、8例(66.7%)にSCCEのmRNA過剰発現がみられ、carcinoma32例中27例(84.4%)にhepsin、25例(78.1%)にSCCEのmRNA過剰発現が認められた。また、hepsin、SCCEはともにimmunohistochemistryで腫瘍細胞に陽性であった。
[結論]hepsinならびにSCCEは正常卵巣組織ではほとんど発現がみられない一方で卵巣腫瘍において高率に過剰発現が認められ、腫瘍の発育、浸潤に関与するproteaseと考えられ、診断の補助マーカーあるいは治療の標的として有用である可能性が示唆された。