ABSTRACT 1157(P4-7)
免疫グロブリン遺伝子によるMALT型リンパ腫のfollicular colonizationの解析:高橋直樹1,田丸淳一1、張ヶ谷健一1,三方淳男2(1千葉大・第一病理、2成田赤十字病院)
Immunoglobuline geneanalysis of follicular colonization in MALT type lymphoma :Naoki TAKAHASHI1,Jun-ichi TAMARU1,Kenichi HARIGAYA1,Atsuo MIKATA2(11st Dept.of Pathol.Chiba Univ.Med. ,2Narita Red-cross Hosp.)
粘膜関連リンパ組織(MALT)型リンパ腫の腫瘍起源は免疫形質学的特徴からmarginal zoneが考えられているが、近年、MALT型リンパ腫で免疫グロブリン(Ig)遺伝子のongoing mutationが見られることが報告され、濾胞より発生すると推察されている。そこで今回我々は、ongoing mutation の由来につき検索するため、MALT型リンパ腫6例について、再構成免疫グロブリン重鎖(IgH)遺伝子を解析した。ホルマリン固定標本よりDNAを抽出し、semi-nested PCR 法にて再構成IgH 遺伝子を増幅したところ、5/6例にクロナリティーを認めた。この5例について更に、シーケンス とサブクローニングを行い、既知のIgH variable regionのgerm line遺伝子と比較した。全例に抗原刺激を受けたリンパ球の腫瘍化を示唆するsomatic mutationを認め、ongoing mutationは明らかではなかった。これらの所見より、MALT型リンパ腫は post germinal center 由来の細胞から発生したものが示唆された。MALT型リンパ腫ではfollicular colonizationと呼ばれている像が見られ、これは組織形態学的に反応性濾胞への腫瘍細胞の浸潤像と考えられている。このfollicular colonization の部分をmicromanupulatorでmicrodissectionし、同様の解析をしたところ、whole tissue より得たクローンと比較してsomatic mutationを付加する形でongoing mutation が認められた。このことより、MALT型リンパ腫で見られるongoing mutationはfollicular colonizationにより獲得され、follicular colonizationは腫瘍細胞が反応性濾胞に浸潤している像であることを証明した。