ABSTRACT 1159(P4-7)
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腸管及び精巣で高発現する組織特異的カルパインhtra-3のクローニングと解析 : 麦田法文1,2,木村麗新1,小川道雄2,佐谷秀行1,中尾光善1 (1熊本大・腫瘍医,2二外) 

Identification of a tissue-specific calpain htra-3 highly expressed in intestine and testis : Norifumi MUGITA1,2, Yoriyoshi KIMURA1, Michio OGAWA2, Hideyuki SAYA1, and Mitsuyoshi NAKAO1 (1Dept. of Tumor Genet. Biol., 2Dept. of Surg. II, Kumamoto Univ. Sch. of Med.)

【目的】カルパインはカルシウム依存性プロテアーゼであり、細胞骨格・膜タンパク質、転写因子などの標的基質を分解制御することで細胞機能を調節している。発現様式から、普遍的に存在するmu-, m-カルパイン、組織特異的に発現する骨格筋のp94(nCL-1), 胃のnCL-2などが報告されている。最近、カルパインが腫瘍抑制タンパク質の分解に関与する事が判明し、腫瘍発生との関連性が注目されつつあるため新規分子を検索した。【方法】mu-カルパインのプロテアーゼドメインと相同性の高いESTを見出し、cDNAライブラリーを鋳型としてPCR法で全長を単離した。培養細胞、組織での発現をノーザンブロットにて検討し遺伝子マッピングを行った。各種細胞発現ベクター、ポリクローナル抗体を作成した。【結果】このカルパインはシステインプロテアーゼドメインを持つ一方、カルモジュリンに相同なカルシウム結合ドメインを欠如する全長639アミノ酸基、73kDaのタンパク質であった。データベース解析で、線虫の性決定遺伝子産物tra-3と極めて高い相同性(36%)を認めたためhtra-3とした。mRNAの発現は腸管・精巣、大腸癌細胞株(SW480)に認められ、その遺伝子はヒト染色体11q14にマップされた。【結論】hta-3は腸管および精巣において高発現する組織特異的カルパインである。今後、生理機能および腫瘍との関連性を含めて検討する予定である。