ABSTRACT 1161(P4-7)
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ヒト卵巣癌におけるsex hormone-binding globulin exon 7 splicing variant mRNAの発現 : 岩垣重紀,操 良,中西義人,藤本次良,玉舎輝彦 (岐阜大・医・産婦)

Expression of sex hormone-binding globulin exon 7 splicing variant mRNA in human ovarian cancers : Shigenori IWAGAKI, Ryou MISAO, Yoshihito NAKANISHI, Jiro FUJIMOTO and Teruhiko TAMAYA (Dept. of OB/GYN, Gifu Univ. Sch. of Med.)

【目的】我々は以前、ヒト子宮内膜癌においてsex hormone-binding globulin (SHBG) のステロイド結合部位の一部をコードしていると考えられているexon 7が欠失したSHBG exon 7 splicing variant mRNA の発現を報告した。今回は、ヒト卵巣癌のSHBG exon 7 splicing variant mRNAの発現とそのレベルを解析し、卵巣癌における性ステロイド依存性の発現機構を検討した。【方法】患者の同意の下に手術的に採取した正常卵巣組織 (20例)、良性卵巣腫瘍 (11例)、卵巣癌組織 (19例)よりtotal RNAを抽出し、exon 6 および 8 の一部と同じ配列のプライマーを用いてRT-PCR-Southern blot 解析を施行することにより、SHBG variant mRNA の発現さらには増幅DNAの塩基配列を決定した。また、SHBG wild-typeおよびvariant mRNAの発現レベルとその比を組織型別・臨床進行期別に解析した。【結果】検討したすべての組織において SHBG wild-type および variant mRNAの発現が認められた。良性卵巣腫瘍では正常卵巣と比べてSHBG wild-typeとvariant mRNAの発現およびその比に有意差を認めなかった。卵巣癌では正常卵巣と比べてSHBG wild-typeの発現レベルに有意差はなかったが、一部の組織型でvariant mRNAの発現レベルは有意に高く、すべての組織型で SHBG variant / wild-type mRNA比は正常卵巣に比べて有意に高い値を示した。 臨床進行期では有意差を認めなかった。【結論】正常卵巣および卵巣腫瘍においてSHBG variant mRNAが発現しており、卵巣癌において絶対的もしくは相対的なSHBG variant mRNAの高発現を認めたのは、卵巣癌は、その癌化に伴ってSHBGに関連したステロイド作用機構から逸脱している可能性が示唆される。