ABSTRACT 1164(P4-7)
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マウスMsh4遺伝子の構造と発現の解析:平野雅則1、芝清隆1、野田哲生1,21癌研・細生、2東北大・医・分子遺伝)

Analysis of structure and expression of the mouse msh4 gene : Masanori HIRANO1, Kiyotaka SHIBA1, Tetsuo NODA1,2(1Dept.Cell Biol.,Cancer Inst.,2Dept.Mol.Genet.,Tohoku Univ.Sch.Med.)

[目的]大腸菌のG/Tミスマッチ修復遺伝子mutSのヒトホモログhMsh2は、遺伝性非腺性大腸癌の原因遺伝子として同定された。G/T以外のミスマッチを認識する遺伝子の存在の可能性を鑑みて、我々は、MutSファミリーに属する新規の遺伝子の単離を試みた。
[方法]degenerate oligomer をデザインし、マウスの精巣より単離したmRNAを用いてRT-PCRをおこない、得られた約200bpの産物をプローブとして、マウス精巣のcDNAライブラリーをスクリーニングした。
[結果]約2kbのcDNAクローンを得た。塩基配列を決定し、blastによるホモロジー検索の結果、出芽酵母の減数分裂時の遺伝的組換えに関与しているMsh4遺伝子のホモログであることが示唆された。この遺伝子のアミノ酸配列は、出芽酵母のMsh4遺伝子に30.3%の相同性を示し、MutSファミリーに特徴的な4箇所のATP結合部位とHTH-DNA結合モチーフが保存されている。更に、cDNAライブラリーのスクリーニングや5'RACEにより、スプライシングバリアントと思われる5種類のcDNAが新たに単離された。mMsh4遺伝子の発現部位をノーザンハイブリダイゼーションによって調べたところ、精巣で多量に発現していることが示された。更に、RT-PCRによって各cDNAが組織特異的に発現していることが明らかになった。各cDNAの組織特異的発現の調節機構や機能に関しては現在のところ不明であるが、今後明らかにしていきたい。