ABSTRACT 1167(P4-7)
結腸癌26移植マウスにおける癌悪液質の指標としての肝ニコチンアミドメチル基転移酵素活性の上昇:岡村淳1,大村宜久2,堀津圭佑2,藤村眞示2(千葉大・医・1生化二,2生化一)
Increased hepatic nicotinamide N-methyltransferase activity as a marker of cancer cachexia in mice bearing Colon 26 adenocarcinoma : Atsushi OKAMURA2, Yoshihisa OHMURA2, Kesuke HORITSU2, Shinji FUJIMURA2 (1,2Dept. Biochem.,Chiba Univ. Sch. Med.)
(目的)主として肝に局在するニコチンアミドメチル基転移酵素(NNMT)は、担癌動物で癌増殖に伴って、体重減少(癌悪液質)とともに肝での活性の上昇が認められる。ここでは、マウス結腸癌26のsubcloneを用いて、癌悪液質とNNMT活性との関係をより明らかにした。(方法)体重減少を引き起こす結腸癌26 clone20と引き起こさないclone5をそれぞれマウスに皮下移植し、肝NNMT活性を測定した。また、体重減少抑制効果を有する5´-deoxy-5-fluorouridine (5´-dFUrd)と有さない他の5-FU系化学療法剤をそれぞれclone20担癌マウスに経口投与し、肝NNMT活性への影響を測定した。(結果)clone20担癌マウスでは腫瘍移植後、NNMT活性が有意に上昇したが、clone5担癌マウスでは不変であった。この際、clone20担癌マウスでは、NNMTmRNAの発現が肝で増強していた。また、5´-dFUrd投与では体重減少抑制とともにNNMT活性上昇の有意な抑制が認められた。(結論)肝NNMT活性上昇の程度は癌悪液質(体重減少)の程度と密接に相関しており、癌悪液質の指標として有用と考えられる。