ABSTRACT 1168(P4-7)
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Transforming RNA:濱田勝友1,佐藤忍2 ( 1広島大・原医研・細胞生物大部門、2生体調節研・横浜サトウクリニック)

Transforming RNA:Katsutomo HAMADA1, Sinobu SATOU2 ( 1Cell Biol. Div., Res. Inst. for Rad. Biol. & Med., Hiroshima Univ., 2Inst. of Bio-regulation, Yokohama Satou Clinic)

がん化は正常細胞がinitial eventによって運命づけられ時々刻々と性格を変化させていく過程であるがこの無常性は初期変異遺伝子産物によって齎されているかも知れない。RNA分子(核内小分子U5RNA)が細胞を形質転換させる事実がある(Mol. Cell. Biol.9, 4345-4356, 1989)。このRNAのpolypurine tractを含むpartial sequenceをpoly(A)付加しpol II依存転写物としてラット繊維芽細胞内で発現させると高率に形態変化を誘導した。この転写物は形態変化した細胞を腫瘍原生の獲得へと進展せしめた。腫瘍化の一指標であるfibronectin蛋白の合成低下も認められた(Mol. Carcinog. 20, 175-188, 1997)。上記成績は,pol II-derived non-coding transcriptsががん化に関与する可能性を示唆する。我々は現実的にヒト癌細胞からtransforming RNAを回収しその性格および能力を決定することに興味を持つ。HeLa細胞から回収したtransforming RNAの性格とそのRNAの正常ヒト繊維芽細胞に対する能力について得た成績を報告する。