ABSTRACT 1169(P4-8)
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ラット再生肝におけるサイクリンD依存性キナーゼ活性制御機構の検討 : 加藤 章1, 伴場裕巳1, 太田慎一1, 安達章子2, 糸山進次2, 松崎 宸1 (埼玉医大・総合セ・11内, 2 病理)

Regulation of cyclin D-dependent kinase activity in the rat liver regeneration : Akira KATO1, Hiromi BAMBA1, Shinichi OTA1, Akiko ADACHI2, Shinji ITOYAMA2, and Fukashi MATSUZAKI1 (11st Dept. of Int.med. and 2Dept. of Pathol., Saitama Med. Ctr., Saitama Med. Sch.)

【目的】真核生物ではサイクリン/サイクリン依存性キナーゼ (Cdk) 複合体の時間的に順序正しい活性化が細胞周期を進行させる。Cdkインヒビターはこの活性を抑制することで細胞周期を停止させるが、最近低濃度でサイクリン/ Cdk 複合体の安定化作用があることも報告されている。ラット再生肝は細胞周期研究における in vivo の理想的なモデルであり、今回サイクリンD1に着目しCdk4との複合体酵素活性の制御機構を検討した。【方法】70 % 部分肝切除後、経時的にラット残存肝を摘出し (1) BrdUの取り込みによる細胞増殖動態 (2) サイクリンD1 mRNAと蛋白量 (3) Cdk4 蛋白量 (4)サイクリンD1依存性キナーゼ活性 (5) p21cip1, p27kip1蛋白量をG1期を中心に測定した。【結果】サイクリンD1mRNA量・蛋白量はG1期に著増した。Cdk4蛋白量もG1期に増加するも、その量的変動はサイクリンD1に比較し軽度にとどまった。サイクリンD1依存性キナーゼ活性はG1期に著増し18時間目にピークを示した。同時にp21cip1, p27kip1も高値であったため、これらのCdkインヒビターとサイクリンD1との複合体形成を調べたところ、低濃度で結合していることが判明した。【結語】ラット再生肝においてサイクリンD1依存性キナーゼ活性はサイクリンD1の発現量に相関してG1期に著増した。また、G1期におけるp21cip1, p27kip1の生理的役割としてサイクリン-Cdk 複合体の安定化作用を担っている可能性が示唆された。