ABSTRACT 1173(P4-8)
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ヒトの試験管内DNA複製系:中村普武 斎藤典子(愛知がんセ・研・分子生物)

DNA replication in a human cell-free system:Hiromu NAKAMURA, Noriko SAITO (Mol. Biol. Unit, Aichi Cancer Res. Inst.)

[目的]ヒトのDNA複製に関与する細胞周期の制御因子やがん関連遺伝子産物などの機能を解析するために、試験管内DNA複製系を改良して、細胞のDNA複製と同じ程度の効率でDNA複製が進行する実験系を確立した。[方法と結果]Stillmanらの方法を改良して用いた。S期に同調したHeLa細胞を低張処理し、ダウンス型ホモゲナイザーでホモジネートを作製した。さらに、遠心により核と低張抽出液を得た。pH、基質濃度、塩濃度等を改良した反応液を用いた、ホモジネート系および核と低張抽出液の再構成系のDNA複製は40分間以上効率よく進行した。最初の10分間のDNA合成率は細胞で調べたDNA合成率と同じであった。このDNA合成率は約11分で半減すること、さらに、このDNA複製はaphidicolinで阻害されたが、6-dimethylaminopurine(複製開始の阻害剤)では阻害されなかったので、この系では新たな複製開始反応はないと考えられる。Digitonin処理により透過性にしたS期の細胞でも同様なDNA複製が見られた。さらに、このS期の低張抽出液と核の高塩抽出液によりG1期の核にDNA複製を誘起する系ついても検討したので報告する。