ABSTRACT 1178(P4-8)
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IL-1 receptor antagonist (IL-1ra) のマウス肝癌における高発現:山田能久,唐崎秀則,吉江真澄,李康弘,小川勝洋(旭川医大・1病理)

High expression of IL-1 receptor antagonist gene in mouse hepatocellular carcinoma : Yoshihisa YAMADA,Hidenori KARASAKI,Masumi YOSHIE,Gang-Hong LEE,Katsuhiro OGAWA (1Dept. of Pathol., Asahikawa Med.Coll.)

【目的】マウス肝癌と正常肝との遺伝子の発現の違いをDifferential Display法により検討し、肝癌に特異的に発現している遺伝子を解析した。
【方法】マウスはB6C3F1を用い、自然発生肝癌およびDEN誘発肝癌組織および正常肝組織よりRNAを抽出しサンプルとした。
【結果・考察】肝癌において強く発現している遺伝子のひとつを単離したところIL-1ra遺伝子であることが判明し、Northern blotにおいても肝癌に特異的に発現していることが確認された。抗IL-1ra抗体を用いて免疫染色を行ったところ正常肝細胞は陰性で肝腺腫・肝癌細胞のみ陽性となったが、初期の前腫瘍性病変では産生が認められなかった。また、各腫瘍のPCNA labeling indexを求め、IL-1raの産生と比較したところ両者の間に正の相関が認められ、IL-1raが腫瘍細胞の増殖に関与していることが示唆された。IL-1bが肝細胞の増殖を抑制するという報告があることより、肝腫瘍細胞はIL-1raを産生することにより増殖の抑制を解除している可能性が考えられる。