ABSTRACT 1181(P4-8)
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大腸癌の転移臓器特異性と腫瘍増殖:緒方 裕,白水和雄(久留米大・外)

Tumor growth implicates in organ specificity of metastasis from colon carcinoma:Yutaka OGATA, Kazuo SHIROUZU ( Dept. of Sug.,Kurume Univ. )

【目的】癌の転移は、癌細胞が原発巣から遊離、標的臓器での定着というプロセスを経て最終的には分裂増殖をくり返すことによって成立する。したがって癌細胞自身が周囲の微小環境にいかに対応し増殖しうるかは転移形成にきわめて重要と考えられる。同所性移植大腸癌を作製すると、ヌードマウスでは肝に、ヌードラットでは肺に特異的に転移を形成するヒト大腸癌由来のKM12SM細胞を用い、転移臓器における増殖能、特に臓器由来の増殖因子、抑制因子に対する反応性を検討し、転移臓器特異性との関与を明らかにする。【方法】ヌードマウス、ヌードラットの肝、肺にKM12SM細胞を移植し、各々の臓器における腫瘍増殖能を比較検討するとともに、ヌードマウス、ヌードラットの肝、肺の種別、臓器別condition medium(以下CM)添加によるKM12SM細胞の増殖能を比較検討した。さらに、各種精製法を用いて、各CMのKM12SM細胞に対する増殖活性、抑制活性を検出し比較検討を行なった。【結果】ヌードマウス、ヌードラット肝、肺組織におけるKM12SM異所性移植腫瘍の増殖能及び種別、臓器別CMのKM12SM細胞に対する増殖、抑制活性はそれぞれ同所性移植腫瘍の転移形式を反映した。また各々のCM中の増殖促進因子、抑制因子の存在、活性は同所性移植腫瘍の転移形式とに関連が認められた。【結論】大腸癌における転移初期の増殖態度は転移臓器特異性を規定する重要な要因であった。