ABSTRACT 1184(P4-8)
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器官培養法を用いた腸上皮化生分離腺管の細胞動態の解析:稲田健一1,中西速夫1,深見博子1,吉川朱実1,山村義孝2,紀藤毅2,立松正衞11愛知がんセ・研・1病理,2同病院・消外)

Cellular proliferative status in human intestinalized gastric glands revealed by organ culture.: Ken-ichi INADA1, Hayao NAKANISHI1, Hiroko FUKAMI1, Akemi YOSHIKAWA1, Yoshitaka YAMAMURA2, Tsuyoshi KITO2, and Masae TATEMATSU1 (1Lab. of Pathol., Aichi Cancer Center Research Institute, 2Dept. of Gastroenterol. Surgery, Aichi Cancer Center Hospital)

【目的】本学会で,単離したヒト胃粘膜腸上皮化生腺管を対象に細胞分化の面から解析を進め,胃腸混合(GI)型と腸(I)型が存在することを提唱してきた.今回は化生腺管の細胞動態の検索を目的とし,器官培養下で増殖細胞の標識と腺管分離法を併用し化生の意義を考察した.【方法】ヒト新鮮胃粘膜より幽門部粘膜を採取,注射筒内でBrdU添加RPMI1640培地と酸素を加え2気圧に加圧し,37℃で1時間培養した.その後腺管分離法により単離した胃腺管の10%緩衝ホルマリン固定スメア標本を作製し,抗BrdUモノクローナル抗体を用いて免疫染色した.同時に,胃型・腸型の細胞分化マーカーによる粘液・免疫組織化学的染色も重染色した.【結果】標識細胞は,GI型化生腺管のうち幽門腺が残存するタイプではpitと幽門腺の境界部に,またGI型で幽門腺の消失したタイプとI型では,腺底部に存在した.芽出や異常分岐を示す腺管では,分岐部に標識細胞を認める場合があった.【結論】本方法により分裂細胞の同定が可能であった.さらに腺管分離法を併用することで,化生腺管における分裂細胞の局在が3次元的に把握でき,GI型とI型双方における細胞動態の異常と,両者の違いが明確に示された.