ABSTRACT 1185(P4-8)
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ヒト卵巣明細胞腺癌由来株RMG-Iの細胞増殖能に及ぼすTGFβ1の直接作用:小宮山慎一、青木大輔、冨永英一郎、進 伸幸、宇田川康博、野澤志朗(慶大・医・産婦)

TGFβ1 inhibits the proliferation of RMG-I cells derived from human ovarian clear cell carcinoma: Shinichi KOMIYAMA, Daisuke AOKI, Eiichiro TOMINAGA, Nobuyuki SUSUMU, Yasuhiro UDAGAWA and Shiro NOZAWA (Dept. of Obstet. and Gynecol., School of Medicine, Keio University)

【目的】卵巣明細胞腺癌はしばしば子宮内膜症を共存する。我々の臨床病理学的検討により臨床進行期I期の内膜症共存明細胞腺癌は非共存例より予後良好であることが判明している。一方で子宮内膜症組織におけるTGFβ1産生の亢進が知られている。そこで明細胞腺癌と内膜症のTGFβ1を介した相互作用を証明するために、ヒト卵巣明細胞腺癌株RMG-IにおけるTGFβ1の直接作用について検討した。【材料と方法】1.RMG-IにおけるTGFβレセプターI型/II型 (TβRI/TβRII)発現の有無を免疫細胞化学・Western blotにて検討した。2.RMG-Iの培養上清中へのTGFβ1添加の有無による細胞増殖曲線の相異を比較した。3.RMG-IのTGF?1添加による細胞周期の変化をFlow cytometryにより解析した。【結果】1.RMG-IはTβRI/TβRII を発現していた。2.TGFβ1添加によりRMG-I増殖は有意に抑制され、抗TGFβ1中和抗体併用により増殖抑制から回復した。3.TGFβ1添加によりRMG-IはS期の有意な低下を認めた。【結論】RMG-IはTβRI/TβRIIを介したシグナル伝達が機能し、TGFβ1によるG1 arrest依存性の増殖抑制を受けることが明かとなった。卵巣明細胞腺癌と子宮内膜症の相互作用におけるTGFβ1の関与を検討するために、RMG-Iは極めて有用な細胞であると考えられた。