ABSTRACT 1187(P4-9)
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ヒト骨髄芽球性白血病細胞の顆粒球系への分化誘導に伴う細胞周期関連遺伝子の発現変動:清水貴壽, 粟井菜於, 武田健(東京理科大・薬・衛生化)

Alteration of cell cycle related gene expression during the induction of granulocytic differentiation in human myeloblastic leukemia ML-1 cells : Takahisa SHIMIZU, Nao AWAI, Ken TAKEDA (Dept. Hygiene-Chem., Fac. Pharm. Sci., Sci. Univ. Tokyo.)

【 目的 】これまで我々は、骨髄芽球性の分化段階にある ML-1 細胞を、ATRA と GM-CSF を併用処理することで、顆粒球様細胞へ分化誘導することに成功した。そこで本研究では、この分化過程における細胞周期関連遺伝子の発現について解析を行い、増殖、分化との関連を検討した。
【 方法 】 ML-1 細胞に、ATRA と GM-CSF を単独及び併用処理して培養を行い、経時的に細胞から mRNA、タンパクを抽出し、ノーザンブロット法あるいはウェスタンブロット法を用いて、各遺伝子の発現量の変動について解析を行った。
【 結果と考察 】まず、分化誘導能を示す併用処理時において、細胞周期制御の中心的な役割を持つ pRb のリン酸化状態について調べた。その結果、分化誘導後4日目でほとんど全ての pRb は活性型の非リン酸化タイプであることがわかった。また cdks、cyclins、CKIs、cdc25A について解析を行った結果、 cyclin D3 と cdc25A において誘導後 2 日及び 1 日で著しい発現の減少が検出された。また、分化誘導活性をあまり示さない単独処理時におけるこれら遺伝子の変動について調べたところ、どの遺伝子もほとんど変動は示さなかった。以上の結果より、この分化過程には cyclin D3、 cdc25A の発現抑制と pRB の活性化が関与している可能性が示唆された。