ABSTRACT 1188(P4-9)
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ヒト骨髄芽球性白血病細胞ML-1におけるビタミンD3誘導体KH1060とTPA併用による成熟マクロファージの誘導:齋藤靖浩,○平良望,清水貴壽,武田健(東京理科大・薬・衛生化)

Vitamin D3 analogue KH1060 with TPA synergistically induces mature macrophages in human myeloblastic leukemia ML-1 cells:Yasuhiro SAITO,Nozomi TAIRA,Takahisa SHIMIZU,Ken TAKEDA(Dept. Hygiene-Chem., Fac. Pharmaceut. Sci., Sci. Univ. Tokyo.)

〔目的〕我々は本研究において、ヒト骨髄芽球性白血病細胞ML-1がビタミンD3誘導体20-epi-22-oxa-24a,26a,27a-tri-homo-1,25(OH)2D3(KH1060)とホルボールエステルTPAの併用で成熟したマクロファージ方向へ強力に分化誘導されることを見出した。両薬剤の併用効果について報告する。
〔方法〕ヒト骨髄芽球性白血病細胞株ML-1をKH1060とTPAで分化させ、分化に伴って現れる諸マーカー(形態変化、エステラーゼ活性、貪食能、細胞表面抗原、サイトカイン産生能等)を測定した。またDNA合成活性を測定し、細胞増殖制御に関わる遺伝子の発現量を測定した。
〔結果〕(1)KH1060とTPAはそれぞれ単独でML-1細胞をマクロファージ方向へ分化誘導した。(2)両者をそれぞれ10nMで併用すると、分化が相乗的に誘導されほとんどの細胞がマクロファージ様細胞に、そのうち約60%が成熟マクロファージ様細胞へ分化した。このときマクロファージに特徴的な諸マーカーが顕著に誘導された。(3)p21が誘導され、がん遺伝子の発現やDNA合成活性、テロメラーゼ活性が減少した。(4)両薬剤の相乗作用はKH1060がプライミングの役割を果たしていることが示唆された。
〔考察〕KH1060のプライミング効果の分子機構の解明に興味が持たれる。