ABSTRACT 1190(P4-9)
 ポスターセッション一覧 トップ 


SV40T抗原遺伝子トランスジェニックマウス由来未分化血球細胞株の骨髄間質細胞依存的増殖:矢内信昭、帯刀益夫(東北大・加齢研・分子発生)

Growth and differentiation potential of stroma cell dependent immature hematopoietic cell lines from SV40T-antigen gene transgenic mic.: Nobuaki YANAI and Masuo OBINATA (Dept. of Cell Biology, Inst. Develop., Aging, and Cancer, Tohoku Univ.)

[目的]骨髄間質細胞株を支持細胞として、温度感受性SV40T抗原遺伝子導入マウスから得た幹細胞を含む未分化な血球を共培養し、支持細胞層の下で増殖する血球細胞のみを継代後、血球細胞株を樹立した。この細胞株の増殖・分化に対する骨髄間質細胞の作用を明らかにし、造血組織における間質細胞と造血細胞との相互作用を解析できる実験系を作る。
[結果]間質細胞依存的に増殖する血球細胞株THS119はLin-/Sca-1+/c-Kit+/CD34+で、血球分化に作用することが示されている転写因子を発現し、未分化な状態を反映していると考えられた。細胞の維持には間質細胞が必須で、間質細胞から離すと速やかに細胞死を起こした。また、増殖には間質細胞の馴化培地が必要であることが分かった。さらに、間質細胞の下に潜り込んでいく際には血清の因子が作用していることが分かった。各種のサイトカインを加えて培養すると、IL-3またはIL-7を加えた場合にのみ、間質細胞に依存しない状態へと分化させることができた。
[結論]骨髄間質細胞依存的な未分化血球細胞株THS119は、未分化な造血細胞の造血組織間質細胞による分化・増殖制御に関わる分子を解明していくためのよいモデル実験系となっていることが示された。