ABSTRACT 1196(P4-9)
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骨髄性白血病細胞HL-60の細胞分化とその細胞周期:松久忠雄(大阪成人セ・細胞生物)

Differentiation of human promyelocytic leukemia cell line, HL-60, does not require DNA synthesis : Tadao MATSUHISA ( Dept.of Cell Biology, Ctr. for Cancer and Cardiovascular Diseases, Osaka)

[目的]前回報告した様にビタミンD3によるHL-60の分化は細胞分裂後に発現されることが示唆された。HL-60の細胞分化はビタミンD 3添加後一細胞周期後に現れてくる事から考えてD3は細胞全周期に存在する事が必要の様である。今回は細胞をノコダゾールでM期に、チミヂンの添加でG1-S期に停止させることによって細胞の分化と細胞の周期を検討した。
[方法]HL-60細胞は10%FCSを含む1640培地で培養を行った。分化はニトロブルーテトラゾリウムからフォルモザン成生で分化発現を検討した。
[結果]ノコダゾールで24時間処理しD3の存在下で53時間処理をおこなうと対照(15.2%)に比べてNBT陽性の細胞は54.5%の細胞が陽性となった。この場合細胞は増殖しているが決してNBT陽性細胞は細胞周期に一致して増加しなかった。同様にノコダゾール処理後チミジンとD3の共存下でNBT陽性細胞の比率を検討したところ71.4%もの陽性細胞が出現した。この事実は細胞分化にはDNA合成が必要でなくG1期に細胞を停止させることによって分化が誘導されることが示された。又細胞をチミジンの存在下でG1-S期に停止させD3を添加したがNBT陽性細胞は細胞周期と一致して増加するのではなく分化にDNAの合成が必要でないことが示された。
[考察]今日までHL-60細胞の分化にはDNAが必要かどうかについて議論があったが今回の実験でDNA合成は分化発現に不要と思われる。