ABSTRACT 1197(P4-9)
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ヒト前骨髄性白血病細胞HL60における白血球接着制御分子, GRIF-1の分化に伴う発現とその影響 : 武田裕司、仙道大、仙道富士郎(山形大・医・免疫・寄生虫)

The expression and effect of GRIF-1(GPI-anchored regulator of integrin function-1) molecule on the differentiation of the human promyelocytic leukemia cell line, HL60 : Yuji TAKEDA, Dai SENDO, Fujiro SENDO (Dept. of Immunol. ・ Parasitol. Yamagata Univ. School of Med.)

[目的]骨髄系細胞の分化モデルとして、ヒト前骨髄性白血病細胞株 HL60が用いられているが、その分化機構は未だに不明な点が多い。我々は、ヒト好中球及び単球に選択的に発現している白血球接着制御分子 GRIF-1 (GPI anchored Regulator of Integrin Function-1) を同定している。同分子は、細胞接着分子のインテグリンの結合能を制御するとともに、成熟した骨髄系細胞にのみ強い発現が認められる分化抗原の1つである。そこで、GRIF-1分子の分化との関連を明らかにするために、HL60を用い、分化に伴うGRIF-1の発現を解析した。また、HL60にGRIF-1遺伝子を導入し、分化に対するGRIF-1の影響について検討した。[結果]dimethyl sufoxide (DMSO) 及びall-trans retinoic acid (ATRA)を用いて、HL60を顆粒球様細胞へ分化刺激すると、GRIF-1陽性細胞が出現した。その陽性率は、ATRAでは10-15%であったのに対し、DMSOでは50-60%と有意に高かった。一方、GRIF-1 cDNAをHL60に導入したclone(GR#33)の同分子陽性細胞の出現率は、DMSO及び ATRAのどちらの分化刺激においても70%>と高値を示した。更に、vectorのみを導入したものと比べ、GR#33は、形態学的、細胞化学的に分化が亢進していた。[考察]HL60は、分化刺激により、GRIF-1 分子を発現する事が明らかとなった。その発現は、DMSO による刺激でより増強し、ATRA による転写制御とは異なる支配を受けていると考えられた。また、GRIF-1 cDNA 導入細胞では、ATRA刺激にGRIF-1発現が加わり、相乗的に分化能が亢進している可能性が考えられた。