ABSTRACT 1198(P4-9)
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細胞分化に関連したユビキチンライゲースNedd4の機能解析:阿南正1,2,長田陽一1, 矢吹奈美3,宮本 力3,松田一郎2,佐谷秀行1,中尾光善1(熊本大・医・腫瘍,熊本大・医・小児,日本ロッシュ研究所 )

Characterization of human ubiquitin-protein ligase Nedd4.
Tadashi ANAN1.2, Yoichi NAGATA1, Nami YABUKI3, Chikara MIYAMOTO3, Ichiro MATSUDA2, Hideyuki SAYA1, Mitsuyoshi NAKAOl(1Dept.Tumor Genet.Biol., 2Dept.Pediatr.,Kumamoto.Univ.Sch.Med., 3Nippon Roche Research Center.)

【目的】ユビキチン・プロテアソームによる細胞内タンパク質分解は、細胞の増殖と発生分化などの重要な制御機構である。Nedd4は神経分化過程でその発現が低下する遺伝子として単離され、hectドメインをもつユビキチンライゲース(E3)であることが判明した。ヒトNedd4の機能を明らかにする目的で、細胞内Nedd4蛋白を解析し、Nedd4と共役するユビキチン結合酵素(E2)を同定した。【方法】正常組織と癌細胞株でmRNAの発現を比較した。BDNF刺激で分化する神経芽細胞腫株を抗Nedd4抗体を用いたウエスタンブロット法と共焦点レーザー顕微鏡で解析した。リコンビナント蛋白としてユビキチン活性化酵素E1、E2(9種類)、Nedd4と125I標識ユビキチンを用いたin vitroユビキチン化系で、Nedd4にユビキチンを転移するE2を解析した。【結果】Nedd4mRNAには3つのフォームがあり正常組織と癌細胞株でその発現比率が異なっていた。神経分化過程でNedd4蛋白の発現も低下した。4種類のE2(UBC4, 5, 6, 7)がNedd4にユビキチンを転移し、hectドメイン中の活性部位のシステインをアラニンに変異したNedd4はユビキチンを受容しなかった。【考察】Nedd4は細胞の増殖や分化に関連したユビキチンライゲースであり、構造上、基質結合に働くWWドメインとカルシウム依存性の膜局在に働くC2ドメインをもっている。Nedd4と共役するE2が膜タンパク質や小胞体に関連した分解系に働くことが明らかになった。ヒトNedd4と相互作用する分子を検索する予定である。