ABSTRACT 1201(P4-9)
EVI1遺伝子の発現によるP19 embryonal carcinoma cellにおける神経分化:風間啓至1,2, 清水誠一1, 小寺隆雄1, 溝口秀昭2, 横田淳1, 森下和広1(1国立がんセ・研・生物, 2東京女子医科大・医・血液)
Neuronal differentiation of P19 embryonal carcinoma cells by ectopic expression of the Evi-1 gene: Hiroshi KAZAMA1,2, Seiichi SHIMIZU1, Takao KODERA1, Hideaki MIZOGUCHI2, Jun YOKOTA1 and Kazuhiro MORISHITA1 (1Natl. Cancer Center Res. Int., 2Tokyo Wemen's Medical College)
EVI1遺伝子はマウス及びヒト骨髄性白血病の原因遺伝子のひとつである。ヒトにおけるEVI1遺伝子は染色体異常にともない単独もしくは融合遺伝子として転写亢進し白血病につながると考えられるが、正常機能についてはよくわかっていない。EVI1遺伝子ホモ欠失マウスでは、神経系の発達を始めとして初期発生段階における多臓器障害を引き起こすことが示された。そこでEC細胞P19を用いて初期発生におけるEVI1遺伝子発現を観察した結果レチノイン酸による神経外胚葉系の分化段階で転写が出現し、DMSOによる中胚葉系分化においては出現しなかった。また、EVI1遺伝子の強制発現はP19細胞に軸索形成などの細胞形態の変化を引き起こし、神経特異的なMAP2の発現を誘導したため、神経分化を引き起こす遺伝子であることが示唆された。現在、さらに神経分化に関係する諸遺伝子群の発現動態との関連性を検討中である。