ABSTRACT 1202(P4-9)
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胚性癌細胞の未分化状態の維持にはStat−3の活性化は必要ない:丹羽仁史、宮崎純一(阪大・医・栄養)

Activation of Stat-3 is not necessary for maintaining stem-cell-phenotype in embryonal carcinoma cells : Hitoshi NIWA, Jun-ichi Miyazaki (Dept. of Nutrition and Physiological Chemistry, Osaka University Medical School)

[目的]胚性癌細胞(EC 細胞)は、奇形腫に由来する未分化細胞で、in vitroで多分化能を保持したまま増殖を続けるが、同じ未分化状態の幹細胞である胚幹細胞(ES細胞)とは異なり、多くの場合分化を抑制するサイトカインLIFには依存しない。我々は、奇形腫形成機構の一端として、EC細胞のLIF非依存化の分子機序の解析を試みた。[方法]Stat-3はLIFのシグナル伝達においてLIFレセプターの下流に位置し、リガンド刺激に応じて活性化される。そこで、ドミナントネガテイブ(DON)型Stat-3をES細胞およびP19EC細胞で強制発現させて、内在性Stat-3の機能を抑制し、その未分化状態の維持に及ぼす効果を検討した。[結果]DON型Stat-3の強制発現は、ES細胞においてはLIFを除去されたときと同様に原始内胚葉細胞への分化を誘導したが、P19EC細胞においては何ら効果を示さなかった。これより、LIF非依存性EC細胞の未分化状態の維持には、Stat-3の活性化も必要ではなく、そのLIF依存性の喪失は、単純なシグナル伝達の自己活性化に依るものではないことが示唆された。