ABSTRACT 1207(P4-9)
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小型肺腺がんにおけるサーファクタントアポ蛋白SP-A、SP-C発現に関する免疫組織化学的検討:森下由紀雄1,野口雅之2,北村 均3,,広橋説雄41筑波大・臨床・臨床病理,2筑波大・基礎・病理,3,横浜市大・医・1病理,4国立がんセ・研・病理)

Immunohistochemical analysis of surfactant proteins, SP-A and SP-C, in the small adenocarcinoma of lung: Yukio MORISHITA1,Masayuki NOGUCHI2,Hitoshi KITAMURA3,,Setsuo HIROHASHI4 (1Dept. of Clinicopathol.,Inst. of Clin. Med.,Univ. of Tsukuba,2Dept. of Pathol.,Inst. of Basic Med. Sci.,Univ. of Tsukuba,3,1st Dept. of Pathol. Yokohama City Univ. Sch. of Med.,4Pathol. Div.,Natl. Cancer Ctr. Res. Inst.)

[目的]数種類の肺サーファクタントアポ蛋白の中で、SP-A、B、Dは肺胞2型上皮細胞およびClara細胞両者に発現するが、SP-Cは肺胞2型上皮細胞にのみ発現するという特徴がある。したがって、小型肺腺がんにおけるこれらアポ蛋白発現の解析は、肺腺がんの細胞発生解明のための一助となる可能性が高い。今回小型肺腺がんにおけるSP-A、SP-Cの発現を免疫組織化学的に検討した。[方法]最大径2cm以下の小型肺腺がん48例を、従来よりわれわれが提唱してきた組織分類に基づいて形態学的に分類した。更にこれらの材料を用いて、SP-Cの前駆物質であるproSP-CおよびSP-Aの抗体による免疫染色を行い、組織学的分類と対応させながら評価した。[結果]小型肺腺がん48例中29例(60%)はproSP-Cに、42例(88%)はSP-Aに、それぞれ腫瘍細胞が陽性所見を示した。これらのうち、手術予後の良好なAおよびB型では高いproSP-C陽性率(A:80%、B:90%)を示したが、比較的予後不良なC、D、およびE型では陽性率(C:47%、D:20%、E:0%)が有意に低かった(P<0.001)。また、高分化腺がん細胞は高い陽性率を示した(29/43、67%)が、中・低分化腺がん細胞の陽性率は有意に低かった(中:3/22、14%、P<0.00005;低:3/13、23%、P<0.005)。一方、SP-Aではいずれの分類でも、小型肺腺がんの各群間に有意差を認めなかった。[結論]小型肺腺がんにおいて、proSP-Cの発現は生物学的性状や分化度を強く反映していた。以上より、サーファクタントアポ蛋白SP-Cは肺腺がんの細胞発生と強く相関している可能性が示唆された。