ABSTRACT 1208(P4-9)
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II-D-セルブロット法の確立と、本法を用いた肺小細胞癌細胞分化誘導因子の解析:寺崎武夫1, 山泉二郎2, 田中和彦3(国立がんセ研・1病理, 2生物,3放 )

Establishment of II-D-Cell Blot method and analysis of small cell lung cancer cell-differentiation factor using this method.
Takeo TERASAKI1, Ziro YAMAIZUMI2 and Kazuhiko TANAKA3 (1Pathol., 2Biol., 3Radiobiol. Div., Natl. Cancer Center Res. Inst.)

【目的】 Rouslahti 等の開発したセルブロット法を、ニ次元に応用し、細胞形態変化誘導分子や、細胞結合分子を簡便に解析する方法を開発すること、及び、本法を用いて、肺小細胞癌細胞を神経様細胞に分化誘導する分子の解析をすすめること。
【実験・結果・結語】トリプシンで部分消化したフィブロネクチンを、ニ次元電気泳動後、PVDF膜に転写した。その膜上にbaby hamster kidney (BHK-21) 細胞を培養し、一日後の細胞形態を顕微鏡を用いて観察した。その結果、細胞がPVDF膜に強く接着し、扁平となっているスポットを確認した。一方、フィブロネクチンの細胞結合ドメインに対する抗体を用いてPVDF膜を免疫染色し、細胞結合ドメインを有するスポットを確認した。他方、PVDF 膜上に転写された蛋白質の一次構造解析法は、アミノ酸シークエンサーを用いて確立している。すなわち、本法は、細胞形態変化誘導分子、細胞結合分子などの解析に有用であると考えられる。 本法を用いて、肺腺癌培養細胞株PC-9の培養上清中に存在する、肺小細胞癌培養細胞を神経様細胞に分化誘導させる分子を、ニ次元電気泳動上のスポットとして確認した。本バンドは既知の細胞分化誘導因子である、ラミニン、フィブロネクチン、IV型コラーゲン、ヴィトロネクチンに対する抗体とは反応せず、上記以外の分子である可能性が示された。