ABSTRACT 1209(P4-9)
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Delta/Notch細胞間情報伝達機構の解析。 mDelta1過剰発現による細胞分化の抑制:水谷圭吾1,2、松林正2、矢崎信2、和田義郎2、高橋利忠1、小幡裕一11愛知がんセ・研・免疫, 2名市大・医・小児)

Analysis of Delta/Notch signaling pathway: Inhibition of myogenic differentiation by mDelta1.:Keigo MIZUTANI1,2, Tadashi MATSUBAYASHI2, Makoto YAZAKI2, Yoshiro WADA2, Toshitada TAKAHASHI1, Yuichi OBATA1 (1Lab. Immunol., Aichi Cancer Center Res. Inst., 2Dept. of Pediatr., Nagoya City Univ. Med. )

〔目的〕Notchを介した情報伝達系は、発生過程の細胞分化に重要な役割を果たしており、また細胞の癌化に関与していることも報告されている。マウスには複数のNotchリガンドが存在するが、その一種のmDelta1は正常組織に広く発現している。本研究では、Notchを発現し、且つ分化誘導可能な細胞株を、mDelta1を過剰発現させたL細胞と一緒に培養することにより、細胞分化を抑制できるかどうかを検索する。
〔方法〕pABWN発現ベクター(阪大、宮崎純一教授より分与)に、mDelta1の全長cDNAをセンスならびにアンチセンス(コントロール)の方向に組み込み、L細胞に遺伝子導入した。導入mDelta1を強く発現している細胞株をNorthern blot法で検索し、選択した。mDelta1導入L細胞の上でC2C12筋原細胞を培養し、培養液中から血清を除去する事により分化誘導を行い、筋肉細胞に分化するか否かを検討した。
〔結果および考察〕分化誘導後、センスのmDelta1を導入したL細胞の上では、筋原細胞は未分化のままであった。一方、アンチセンスのmDelta1を導入したL細胞の上では、筋肉細胞に分化したことが形態的に観察された。また、筋原細胞が筋肉細胞へ分化する時に発現するmyogeninを指標としたNorthern blot解析でも、分化が抑制されていることが確認された。mDelta1ならびにNotchの発現を様々な組織で検出しており、他の細胞系の分化にも関与するかどうか、同様の検討を行っている。