ABSTRACT 1210(P4-9)
炭酸脱水素酵素阻害剤 6-エトキシゾールアミドによるマウス前脂肪細胞3T3-L1での脂肪蓄積抑制:高畑武功1,熊野高行1,柿崎育子2,早狩誠1,大川恵三1,佐藤公彦1,土田成紀1(1弘前大・医・2生化,2弘前大・医・1生化)
Carbonic anhydrase inhibitor 6-ethoxyzolamide represses lipogenesis on mouse preadipocyte 3T3-L1: Takenori TAKAHATA1, Takayuki KUMANO1, Ikuko KAKIZAKI2, Makoto HAYAKARI1, Keizou OOKAWA1, Kimihiko SATOH1, Shigeki TSUCHIDA1 (1Second and 2First Dept. Biochem., Hirosaki Univ. Sch. Med.)
(目的)脂肪細胞の分化にはペルオキシソーム増殖剤応答性受容体(PPAR)gamma、グルココルチコイド、インスリン等が関与するといわれている。脂肪細胞分化の実験系では、分化誘導剤を添加した最初の2日間で分化への方向づけがなされ、続く8日間で脂肪蓄積が進行する。炭酸脱水素酵素(CA)は分化後に発現することが知られているが、その役割については不明の点が多い。今回我々は、CA阻害剤である6-エトキシゾールアミド(6-ETZ)の3T3-L1分化に及ぼす影響につき検討した。
(方法)分化誘導剤にて3T3-L1を2日間処理後、分化誘導剤を除き、8日間インスリンのみの存在下で培養した。脂肪蓄積はOil red Oによる脂肪染色にて評価した。
(結果)3T3-L1を分化させると29kDaタンパクの増加を認めた。このタンパクはラット脂肪組織のCAIIIに対する抗体と反応したことからCAIIIと同定された。さらに3T3-L1での脂肪蓄積は、高濃度(0.2mM)の6-ETZを0-10日目まで添加することで抑制されたが、分化誘導剤と同時に0-2日目のみの添加では抑制されなかった。これらの結果から、CA阻害剤は分化誘導剤による脂肪細胞への分化の方向づけは抑制せず、その後の脂肪蓄積を抑制する可能性が示唆された。現在、CAと脂肪蓄積の関連についてさらに検討中である。