ABSTRACT 1211(P4-9)
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膵臓における化生〜腺癌の組織発生と分化:呉利波1,九嶋亮治1,2,服部隆則11滋賀医大・病理,2済生会滋賀県病院)

Histogenesis and cell differentiation of metaplasia - adenocarcinoma in the pancreas: Libo WU1, Ryoji KUSHIMA1,2, Takanori HATTORI1(1Dept. of Pathol.,Shiga Univ. Med. Sci., 2Saiseikai Shiga Hosp.)

【目的】膵管上皮の化生〜過形成〜異形成〜腺癌において,胃型の形質がみられることが知られている.これらの特性と組織発生について,胃型・腸型の粘液形質,細胞増殖とTrefoil蛋白pS2の観点から検索した.【対象と方法】膵管癌,嚢胞腺癌や慢性膵炎で外科的に切除された膵臓のホルマリン固定パラフィン標本を対象として,腫瘍部と非腫瘍部について,粘液染色およびhuman gastric mucin, gastric gland mucin, MIB-1, PCNAとpS2に対する免疫染色を施行した.【結果と考察】膵管の化生・過形成部分では胃腺窩上皮型粘液と幽門腺型粘液の発現がみられた.腺窩上皮型細胞と幽門腺型の細胞集団が別別に出現する部位と層状にみられる部位があった.増殖細胞はしばしば腺窩上皮型粘液の発現と対応していた.異形成〜腺癌部分でも同様の傾向がみられたが,これらのパターンはしばしば乱れていた.pS2の発現は非腫瘍部・腫瘍部で胃型形質の発現と対応しており,膵管上皮や癌の胃方向への増殖と分化に関連しているものと思われた.