ABSTRACT 1212(P4-9)
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上皮細胞の角化に関わる新規遺伝子の単離と解析:高石樹朗, 高田義美, 許 南浩(富山医薬大・医・生化)

Isolation and Characterization of Genes Involved in Epithelial Cell Keratinization. : Mikiro TAKAISHI, Yoshimi TAKATA, Nam-ho HUH ( Dept. of Biochemistry, Facult. of Med., Toyama Med. and Pharmaceut. Univ.)

[目的]我々は皮膚形態形成の分子機構を検討することにより、正常な皮膚の発生のみならず、皮膚癌に関わる基礎的な知見が得られると考えた。その一つの手段として、RNA Differential Display法を用いて、皮膚形態形成時に発現が変化する新規遺伝子の単離を試みた。
[結果]胎齢12.5〜16.5日のマウス皮膚表皮を材料としてRNA Differential Displayを行った。この結果、発現が変化する7つの未知遺伝子断片を得た。そのうちの一つである4C32は、皮膚形態形成の進展に伴い、表皮特異的にmRNAの発現が増加した。胎齢16.5日マウス胎仔についてIn situ Hybridization法を行ったところ、この遺伝子は皮膚ペリダーム及び舌上皮に特異的に発現していた。成熟マウスでは、尾及び舌の上皮において発現が見られた。4C32は、197アミノ酸残基をコードすると予想された。特徴的な構造としては、10アミノ酸残基を1単位とする6回の繰り返し配列が存在した。また、マウスGenomic DNA Libraryをスクリーニングして、4C32に類似する遺伝子を単離した。
[結論]4C32が持つ特徴的な繰り返し配列は、毛包特異的なKeratin-associated Proteinに類似していると考えられた。また、成熟マウスにおける、舌あるいは尾といった角化の顕著な上皮での発現が観察されたことから、上皮細胞の角質形成への関与が示唆された。