ポスターセッション

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ヒト腎細胞癌におけるTGFβシグナル伝達系の異常について：菊地泰, 千種美好, 藍沢茂雄（慈恵会医大・医・病理）

Analysis of TGFB receptor and downstream signaling components in human renal cell carcinomas.: Yasushi KIKUCHI,Miyoshi CHIGUSA, Shigeo AIZAWA (Dept. of Pathol., Jikei University, School of Medicine.)

TGFβはラット線維芽細胞をtransformationすることで発見されたが、種々の細胞で色々な機能を持つことがわかり現在ではcell cycleのnegative regulatorとして知られている。TGBβは2種類のreceptorと結合しreceptorのリン酸化を引き起こしSmadsをリン酸化させシグナルを伝達する。TGFβtypeII receptorはexon 3に10個のadenineの繰り返し配列を持ちHNPCC患者において高率にmutationを認めることが知られている。Smad4は別名DPC4とも呼ばれ、膵癌の90％以上においてLOHの見られる18q21に局在しているおり膵癌の約50％にmutationを認めている。腎細胞癌の大部分を占めるclear cell typeのものはVHL geneの異常によって発生することが知られているがprogressionに関与する遺伝子は明らかになっていない。我々は今回TGFβシグナル伝達系の腎細胞癌における関与の有無について検討した。ヒト腎細胞癌30例あまりの検索でTGFβtypeII receptorのadenineの繰り返し配列においては異常を認めなかった。DPC4では11個のexonのうち10個までPCR-SSCPによる検索を進め4本のshift bandを認めている。18q21に存在する2つのdinucleotide markerによる検索で3例においてLOHを認めている。今後shift bandのsequencingとmarkerを追加して発表する。現在までのデータよりTGFβシグナル伝達系は腎細胞癌の一部で何らかの役割を果たしていることが想定された。