ABSTRACT 1330(P5-2)
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膵癌におけるDPC4蛋白および遺伝子異常の解析:根津賢司,阿部康人,住田知樹,明比 俊,木藤克己,杉田敦郎,植田規史

Analysis of DPC4 protein and gene in pancreatic cancer.:Kenji NEZU, Yasuhito ABE,Tomoki SUMIDA,Shun AKEHI,Katsumi KITO,Atsuro SUGITA,Norifumi UEDA(1st Dept. of Pathol., Ehime Univ.Sch. of Med.)

【目的】DPC4は染色体18q.21.1領域より癌抑制遺伝子として単離され,膵癌においてdeletionあるいはmutationを認める。これまで遺伝子レベルの異常の解析は種々の癌において検討されてきたが,今回我々はDPC4蛋白における特定領域を認識する特異抗体を作製し,免疫学的手法を用いてDPC4蛋白の細胞内局在および発現を検討した。さらに膵癌組織およびそのxenograft,また膵癌細胞株におけるDPC4遺伝子異常についても検討した。
【方法】特異抗体を用いて,DPC4の正常膵組織および膵癌細胞株における細胞内局在を免疫蛍光染色法を用いて検討した。また膵癌手術例において腫瘍の一部をヌードマウスに移植片として継代し,元の組織と移植片との形態および遺伝子変化をPCR-SSCP法で解析し,異常パターンを示したものについてSequenceを施行した。さらに膵癌細胞株(AsPC1,CAPAN1,MIAPACA2),乳癌細胞株MDA-MB-468(DPC4-null cell line)におけるDPC4の異常についても検討した。
【結果】
免疫染色にてDPC4蛋白は主に細胞質に局在していることが示唆された。ヒト膵癌組織においてDPC4遺伝子異常は認められなかったが,ヌードマウス移植片ではcodon347におけるATT:Ile→GTT:Valの付加された異常が認められた。また膵癌細胞株AsPC1ではcodon100におけるAGG:Arg→ACG:Thr,CAPAN1ではcodon343におけるTCA:Ser→TGA:Stopの変化が認められた。