ABSTRACT 1332(P5-2)
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Two-hybrid 法による VEGF receptor-2 (KDR) 標的因子の検索:矢花 直幸,渋谷 正史 (東大・医科研・細胞遺伝)

Identification of signaling molecules interactive with VEGF receptor-2 by the yeast two-hybrid system : Naoyuki YABANA and Masabumi SHIBUYA (Dept. of Genetics, Inst. Med. Sci., Univ. of Tokyo)

VEGF receptor-2 (KDR/Flk-1) は、血管内皮細胞増殖因子 VEGF を受容し活性化されるチロシンキナーゼであり、様々な血管新生において中心的な役割を果たすことが示されている。我々は増殖制御に関与する VEGFR-2 の標的因子の同定をめざし、two-hybrid 法でヒト VEGFR-2 の細胞内ドメインとキナーゼ活性に依存して相互作用する因子を、ヒト胎盤 cDNAライブラリーから検索し、cDNA 3種を単離した。cDNA の中の一種は Grb-IR であり、VEGFR-2 の Tyr1215 がこの相互作用に関与することが示唆された。二番目の cDNA がコードする遺伝子産物はアダプター分子 Nck と全長にわたって相同性を有し、新規の Nck 関連遺伝子(Nck2)であることが明らかになった。三番目の cDNA は、コードする産物がプロトオンコジーン Vav と全長にわたって相同性を有する新規の vav 関連遺伝子(Vav3)であり、VEGFR-2 の Tyr1306 がこの相互作用に関与することが示唆された。vav3 mRNA は血球系およびヒト臍帯静脈内皮細胞において発現が観察されたが、 胎盤、腎臓、すい臓などにC 末端側だけを含む mRNA が顕著に発現するのが見出され、vav 遺伝子ファミリーの生体内における新たな役割が推測された。