ABSTRACT 1336(P5-2)
細胞内アダプター分子LnkによるB細胞産生量の制御:高木 智1, Brian IRITANI2, Karsten SAUER2, Sylvia CHIEN2, 高津聖志1, Roger M. PERLMUTTER2(1東大・医科研・免疫, 2Dept. Immunol., Univ. of Washington)
Control of B cell production by a cellular adaptor protein Lnk : Satoshi TAKAKI12, Brian IRITANI2, Karsten SAUER2, Sylvia CHIEN2, Kiyoshi TAKATSU1, Roger M. PERLMUTTER2 (1Dept. Immunol., Inst. Med. Sci., Univ. of Tokyo, 2Dept. Immunol., Univ. of Washington)
LnkはSH2ドメインとチロシンキナーゼが認識可能な配列を数カ所持つ細胞内アダプター蛋白質で、リンパ系組織に比較的強く発現されている。我々はLnkのリンパ球分化および生体内における役割を検討するためLnk欠損マウスを作製し、Lnk欠損マウスでは脾臓および骨髄でB細胞、B前駆細胞が顕著に増加しており、B細胞の過剰産生が観察されることを昨年の本学会にて報告した。今回さらにLnk欠損マウスにおけるB細胞の過剰産生がどのような機構で起こっているのか検討を加えた。B前駆細胞の増殖分化には骨髄ストローマ細胞との相互作用が重要である。Lnk欠損マウスの骨髄細胞を放射線照射した野生型マウスに移入するとB細胞の過剰産生が再現された。一方、野生型マウスの骨髄細胞をLnk欠損マウスに移入してもB細胞の過剰産生はみられなかった。このことよりB細胞の過剰産生はB前駆細胞の異常に起因し、Lnkを欠損するB前駆細胞は正常より高い増殖分化能を持つことがわかった。Lnkは未熟細胞の増殖分化誘導シグナルを負に制御するユニークなシグナル伝達分子であることが示唆された。また、Lnk欠損B前駆細胞のIL-7, SCF, Flt3-Lなど各種B前駆細胞の増殖分化因子に対する応答性を検討しており、その結果についても報告する。