ABSTRACT 1337(P5-2)
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カルパスタチン遺伝子の過剰発現によるヒト UVr-1 細胞における紫外線感受性化:日和佐隆樹1、荒瀬佳子2、牧正敏3、伊東久夫2、鈴木信夫1(千葉大・医・1二生化、2放医、3名大・農・応用生物)

Enhancement of ultraviolet-sensitivity by overexpression of calpastatin gene in human UVr-1 cells: Takaki HIWASA1, Yoshiko ARASE2, Masatoshi MAKI3, Hisao ITO2, Nobuo SUZUKI1 (Depts. of 1Biochem. and 2Radiol., Sch. of Med., Chiba Univ., 3Dept. of Appl. Biol. Sci., Sch. of Agr. Sci., Nagoya Univ.)

紫外線(UV)により誘導されるアポトーシスとシグナル伝達の関係を調べるために以下の実験を行なった。ヒト胎児由来繊維芽細胞より樹立された RSa 細胞は紫外線(UV)やX線などの DNA 傷害因子に対して高い致死感受性を示し、突然変異頻度も高い。一方、UVr-1 細胞は RSa 細胞より UV 抵抗性株として樹立された派生株である。UVr-1 細胞では UV 照射後 4 〜 24 時間で protein kinase C や Src の down regulation が観察され、RSa 細胞ではそのような変化は見られなかった。これらの分子の down-regulation はカルパインによって生じることが報告されている。そこで、カルパインの特異的インヒビターであるカルパスタチン cDNA を発現ベクター pRc-CMV に組み込み、UVr-1 細胞にトランスフェクトしてその発現の影響を調べた。得られた高発現クローンにおいては UV 照射後の Src の down-regulation が抑制されており、コロニーサバイバル法で調べた UV 致死感受性もベクターコントロールより有意に高くなっていた。これらのことから、カルパインは UV 照射後のシグナル伝達分子の down-regulation、および細胞の傷害からの回復に関与する可能性が示唆された。