ABSTRACT 1339(P5-3)
大腸側方発育型腫瘍(Laterally Spreading Tumor)におけるK-ras遺伝子変異:秋山欣丈1,坂井雄三3,森田博義1,湖山信篤2,柳澤昭夫3,加賀美尚1,加藤洋3(1東京逓信病院第一外科,2坪井病院,3癌研)
K-ras Codon 12 Point Mutation in Laterally Spreading Tumor of the Large Intestine : Yoshitake AKIYAMA1, Yuzo SAKAI3, Hiroyoshi MORITA1, Nobuatu KOYAMA2, Akio YANAGISAWA3, Akira KAGAMI1, Yo KATO3 (1First Dept. of Surgery, Tokyo Teishin Hospital, 2Tuboi Hospital, 3Dept. of Path.,Cancer Inst.)
【目的】大腸の側方発育型腫瘍におけるK-ras点突然変異を検索し,隆起型や表面型大腸腫瘍のそれと比較する。【材料と方法】切除(内視鏡的切除4例,外科的切除12例)で得られた側方発育型腫瘍16例(顆粒型13例,非顆粒型3例)を対象とした。組織学的には腺管腺腫7例,腺管絨毛腺腫2例,腺腫内癌7例であった。病変の最大径は60mm(20-60)で,平均26.2mmであった。方法は,パラフィン包埋切片を脱パラ・核染後,1病変から3箇所(両端と中心)の小組織片を採取しDNA抽出,microdissection PCR後,Dot blot hybridization法にてK-rasの変異の出現頻度を検索した。【結果】K-rasの点突然変異頻度は,1箇所でも変異が認められた場合を陽性とすると全体では50%(8/16),顆粒型では54%(7/13),非顆粒型では33%(1/3)であった。腺腫では44%(4/9),腺腫内癌では57%(4/7)であった。【結語】K-rasの点突然変異出現頻度は隆起・表面型癌(30%以下)に比し有意に高値であった。1病変では,同一病変内に2個の遺伝子変異があり multi focal の変異発現が示唆された。また、点突然変異は腺腫より癌に高値であった。