ABSTRACT 1342(P5-3)
 ポスターセッション一覧 トップ 


ヒト・リンパ節、壊死性リンパ節炎、悪性リンパ腫におけるD4-GDIの発現:富岡大策, 山田健人, 中田勇二, 橋口明典, 趙 忱, 秦 順一(慶大・医・病理)

Expression of D4-GDI in human lymphnode, necrotizing lymphadenitis and malignant lymphomas.: Daisaku TOMIOKA, Taketo YAMADA, Yuji NAKATA, Akinori HASHIGUCHI, Chen ZHAO, Jun-ichi HATA (Dept Pathol., Keio Univ.)

ヒト白血病細胞の生体内浸潤において、G蛋白Rhoの活性化が重要であることを報告してきた。このRhoの活性は、エフェクター分子Rho-GDIにより抑制的に調節されている。今回、血球に特異的に発現するRho-GDIであるD4-GDI(D4)について、正常組織、壊死性リンパ節炎および悪性リンパ腫での発現を検討した。【方法】ヒトD4のアミノ酸(55Gly-70Arg)を合成し、家兎へ免疫しポリクローナル抗体を作成した。免疫組織学的検索はすべてホルマリン固定パラフィン包埋材料を用いた。【結果】ポリクローナル抗体はウェスタンブロットにより28kDaの分子を認識した。抗原による吸収試験で陰性化し特異性が確認された。D4はリンパ節、胸腺、骨髄において白血球に陽性であったが、他の細胞での発現は認められなかった。リンパ節においては、芽中心および濾胞間において強い発現を認めたが、濾胞においても弱い発現がみられた。壊死性リンパ節炎では巣状壊死に残存するリンパ球に極めて高い発現を認め、貪食マクロファージにも発現が見られた。悪性リンパ腫では濾胞性リンパ腫、T細胞およびB細胞性のびまん性リンパ腫で発現が認められた。バーキットリンパ腫でも腫瘍細胞での発現が見られたほか、tingible body macrophageにも極めて高い発現が認められた。【考察】抗D4ポリクローナル抗体はCD45同様に白血球の良いマーカーであり、パラフィン切片での反応性に優れていた。また、壊死性リンパ節炎やアポトーシスに陥った細胞を貪食するマクロファージでD4の発現が高かったことは、同分子がアポトーシスの過程でCPP32などのcaspaseの基質となることと考え合わせると興味深い。