ABSTRACT 1343(P5-3)
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膵癌患者由来の突然変異促進血清因子の作用メカニズム:板橋輝美,山森秀夫,田代亜彦,平野純子,中島伸之,武玉萍,鈴木信夫,(千葉大,一外科,二生化)

Mechanisms of mutation enhancement by serum factors from pancreatic cancer patients: Terumi ITABASHI1,Hideo YAMAMORI,Tsuguhiko TASHIRO1, Junko HIRANO1,Nobuyuki NAKAJIMA,Yu-Ping Wu2,Nobuo SUZUKI2(1st Dept.of Surg.,Chiba Univ.,2nd Dept.of Biochemistry,Chiba Univ.)

膵癌組織においてはK-ras codon 12の点突然変異が非常に高頻度で検出されるが,私共はその変異を促進する因子が膵癌患者血清中に存在することを報告してきた。今回は,その因子の変異促進のメカニズムを解明する為,タンパク質とDNAの代謝に関する基礎検討を行った。すでに,変異抑制作用を示すインターフェロンの場合,培養ヒト細胞におけるアンチバイン感受性のプロテアーゼの活性誘発がその作用の初期の過程に存在することを見出している。そこで,本血清因子前処理後紫外線照射し,125I-Fibrinの分解活性を測定した。膵癌患者血清は,色素樹脂カラムクロマトグラフィ−により分離分画した。ウアバイン耐性化形質変異の誘導を促進する画分について
PCRと dot-blot hybridization法を用いてK-ras codon 12変異の誘導が促進することを確認できた画分については,分解活性の上昇作用のあることが判明した。一方,上記画分処理後紫外線照射し,4時間後のRNAを採取し,RT-Differential  display法により複数の遺伝子の情報発現誘導のあることが判明した。以上の結果から,膵癌患者血清因子は,プロテアーゼ誘発とそれに引き続く遺伝子情報発現の誘導を介して,変異原因子によるK-ras codon 12の変異を促進するという変異促進のメカニズムが示唆された。