ABSTRACT 1346(P5-3)
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がん細胞における低分子量G蛋白質Rhoの発現量と活性調節:吉岡潔子,伊藤和幸(大阪成人セ・研)

Expression levels of small GTP binding protein Rho involved the activation : Kiyoko YOSHIOKA, Kazuyuki ITOH (Research institute, Osaka Medical Center for Cancer )

[目的]  低分子量G蛋白質 Rho は Ras と異なりヒトの臨床例における遺伝子変異の報告はない。一方外科切除された大腸がん症例を対象に検討したところ、転移巣においてRhoの発現亢進を認めた。そこで、Rho の発現量の変化が腫瘍細胞の浸潤運動に影響するかどうか検討した。
[方法] ヒト normal RhoA cDNA のN末端にpeptide tagを付加し発現ベクターに挿入、ラット肝がん細胞に導入しstable transfectants を作製、 in vitro浸潤能は同種ラット中皮細胞を用いた重層培養浸潤モデル系で、アクトミオシン系の活性化は、ミオシン軽鎖(MLC20) のリン酸化を19Serリン酸化特異抗体を用いた immunoblot 法にて定量した.
[結果] 得られたstable transfectants のexpressed RhoAの発現は、RhoA 抗体を用いた immunoblot にてendogenous RhoAの20〜100%であった。 expressed Rho の発現量とMLC20リン酸化の亢進、リゾホスファチジン酸 (LPA) 存在下及び非存在下でのin vitro 浸潤能は正の相関を認めた。又これらのtransfectants は、シャーレ面への接着能の亢進を示した。ボツリヌス菌体外酵素 C3 処理 (50μg/ml, 24 時間) により endogenous 及び expressed Rho は ADP-リボシル化され、細胞形態は球形化し、シャーレ面への接着は消失し、 in vitro 浸潤能は約90%抑制された。現在、いかにして Rho の発現の量的変化が浸潤のシグナルを活性化しているのか詳細に検討している。