ABSTRACT 1348(P5-3)
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神経特異的低分子量G蛋白Rinの制御機構:
浦野 健, 田口誠一, 古川鋼一(名大・医・生化二)

Signalling passway of neuron-specific GTPase Rin : Takeshi URANO, Seiichi TAGUCHI and Koichi FURUKAWA (Dept. of Biochemistry II, Nagoya Univ. Sch. Med.)

 細胞内カルシウムは,神経情報伝達,筋収縮,遺伝子発現,細胞増殖など情報伝達機構において重要な役割を担っている。これらの情報伝達は,しばしばカルシウム/カルモジュリン複合体形成により制御されている。
 低分子量G蛋白Rinは,神経系に特異的に発現するカルシウム依存性カルモジュリン結合蛋白で、その生物学的機能については依然不明である。このRin蛋白は,細胞の増殖,分化などを制御する低分子量G蛋白Rasと比較すると,1)細胞膜への結合に必要なプレニレーション修飾部位をC末端に有しない,2)狭義のエフェクター領域のアミノ酸配列はよく保存されている、3)C末端側にカルモジュリンの結合部位を有しているなどいくつかの特徴的構造を有している。そこで我々は活性型Rinを細胞内に導入しMAPキナーゼ系の活性化の有無を調べたところ,その活性化は認められなかった。以上の相違より,神経系において,カルモジュリン結合低分子量G蛋白Rinに特有な標的蛋白があり,その標的蛋白を介した新しい細胞内シグナル伝達系の存在および制御機構が想定される。現在、その細胞内情報の制御機構を詳細に検討中である。