ABSTRACT 1349(P5-3)
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RasによるRalの活性化機構とRalGDSの細胞内局在変化の役割:松原賢治1,岸田昭世1,松浦善治2,北山仁志3,野田亮3,菊池章11広島大・医・生化,2国立感染研,3京大・医・分子腫瘍)

Activation of Ral through Ras-dependent translocation of RalGDS : Kenji MATSUBARA1,Shosei KISHIDA1,Yoshiharu MATUURA2,Hitoshi KITAYAMA3,Makoto NODA3,Akira KIKUCHI1 (1Dept. of Biochemistry, Hiroshima Univ. Sch. of Med., 2Dept. of Virology, National Institute of Infectious diseases, 3Dept. of Molecular Oncology, Kyoto Univ. Grad. Sch. of Med.)

Rasからのシグナルの一部はRalGDSを介してRalに伝達されることが明らかになりつつある。しかし、Ras familyに属するRap1はRalGDSと結合するが、細胞内でRalGDSを活性化しない。そこでRasとRap1のキメラを作成し、これらの蛋白質の細胞内局在とRalGDSの活性化との関連を解析した。COS細胞内でRas及びRap1のN末端とRasのC末端のキメラ(Rap1/Rasキメラ)はRalGDSを活性化したが、Rap1及びRasのN末端とRap1のC末端のキメラ(Ras/Rap1キメラ)はRalGDSを活性化しなかった。NIH3T3細胞にこれらの蛋白質を発現させて免疫染色を行なったところ、RasやRap1/Rasキメラ、Ralは細胞膜に、Rap1とRas/Rap1キメラは核周囲領域に存在した。RalGDSは細胞質に存在したが、RasまたはRap1と共に発現させるとRalGDSもそれぞれ細胞膜と核周囲領域へと局在が変化した。さらに、C末端に細胞膜移行シグナルを付加したRalGDS(RalGDS-CAAX)はCOS細胞内で単独でRalを活性化した。リポソームを用いたRas-RalGDS-Ralシグナル伝達の再構成実験系では、RalGDSはRasに依存してRalに対するGDS活性を示したが、RalGDS-CAAXはRas非存在下においてもRalに対するGDS活性を示した。以上の結果より、RasによるRalGDSの細胞質から細胞膜への細胞内局在の変化によってRalの活性化が起こることが明らかになった。