ABSTRACT 1350(P5-3)
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ヒト白血病細胞の浸潤におけるRhoおよびD4-GDIの分子機構:中田勇二, 山田健人, 橋口明典, 趙 忱, 秦 順一(慶大・医・病理)

Molecular mechanisms of Rho and D4-GDI in human leukemia infiltration. Yuji NAKATA, Taketo YAMADA, Akinori HASHIGUCHI, Chen ZHAO, Jun-ichi HATA (Dept Pathol., Keio Univ.)

白血病細胞浸潤の分子機構を明らかにするためにSCIDマウスを用いたヒト白血病細胞の浸潤モデルを確立し、G蛋白Rhoの活性化が浸潤を促進させることを報告してきた。今回は、ヒト中枢神経白血病モデルの確立を通じて血球特異的に発現するRho活性調節蛋白D4-GDIの白血病浸潤における機能を検討した。【方法】小児T細胞白血病細胞株HPB-ALLをSCIDマウスに静注し、中枢神経系を含めてその浸潤動態につき検討した。またSRαプロモーターを用いてD4-GDIをEnhanced green fluorescent protein(EGFP) との融合遺伝子としてベクターを構築した。対照としてEGFPのみの発現ベクターを用いた。これらのベクターをHPB-ALL細胞に遺伝子導入し、安定発現細胞株を得、2 X107細胞/マウスで静注し、浸潤能の変化を観察した。さらにこれらのクローンについてMTT法により細胞増殖能について検討した。【結果】HPB-ALL細胞はSCIDマウス移植により、末梢血・副腎へ浸潤し、さらに6-7週で中枢神経浸潤をきたして死亡した。一方、D4-GDI導入細胞を移植した場合は中枢神経への浸潤は認められなかった。対照としたEGFP導入細胞を移植したマウスは親株同様に中枢神経浸潤により死亡した。しかしD4-GDI導入細胞とEGFP導入細胞では、in vitroでの細胞増殖能には変化がないことがMTT法の結果明らかとなった。【考察】D4-GDIの過剰発現がRhoの不活性化を通じて、白血病細胞の中枢神経への浸潤を抑制することが明らかとなった。また細胞増殖能には変化が認められなかったことから、Rhoの不活化による細胞接着能の変化について検討中である。