ABSTRACT 1351(P5-3)
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低分子量 G 蛋白質 RhoD による細胞運動と細胞分裂の制御: 遠藤 剛,松本 健(千葉大・理・生物)

Regulation of cell motility and cell division by the small GTPase RhoD: Takeshi ENDO, Ken MATSUMOTO (Dept. of Biol., Fac. of Sci., Chiba Univ.)

低分子量 G 蛋白質の RhoD は,特異的なエフェクター部位の配列をもっているため,他の Rho ファミリー蛋白質とは異なる独自の機能をもつことが推定される.活性型の RhoD を培養細胞に導入し発現させると,ストレスファイバーと接着斑の消失ならびにマイクロスパイクの形成をともなうアクチン細胞骨格の再構成が起こる.そこでこれらの細胞骨格の変化が細胞運動と細胞分裂にどのような影響を及ぼすかを調べた.RhoD をトランスフェクトしたマウス線維芽細胞の運動能を,金コロイド法により解析した.その結果,RhoD により運動能は著しく低下することが示された.これは RhoD によるストレスファイバーと接着斑の消失によってもたらされたものと考えられる.また RhoD をトランスフェクトした線維芽細胞では,複数の核をもつ細胞の割合が増大した.Xenopus 卵に RhoD を注入した場合にも,卵割が抑制され多核になった.これらの現象は,RhoD がアクチンからなる収縮環の形成を阻害した結果もたらされたものと考えられる.以上の結果は,アクチン細胞骨格に対して RhoD が RhoA と拮抗する作用をもっていることを示唆している.