ABSTRACT 1352(P5-3)
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Ras に結合する線虫ホスホリパーゼ C (PLC210) とそのヒトホモログ:苅谷研一, 柴峠光成, 胡 長灯, 片岡有里子, 片岡 徹(神戸大・医・2生理)

A Ras-binding phospholipase C, PLC210, in C. elegans and its human homolog: Ken-ichi KARIYA, Mitsushige SHIBATOHGE, Chang-Deng HU, Yuriko YAMAWAKI- KATAOKA, Tohru KATAOKA (Dept. of Physiol. II, Kobe Univ. Sch. of Med.)

最近我々は線虫 C. elegans から Ras に結合する 210 kDa のホスホリパーゼ C (PLC210) を見い出したが、PLC210 はその中央部に PLC に共通のドメイン (X、Y、C2) を持ち、ホスファチジルイノシトール 4,5-二燐酸を加水分解する活性を示した。 PLC210 は、C 末端に存在する約 100 アミノ酸の Ras-associating (RA) ドメインを介して GTP 依存性にヒト Ha-Ras と Rap1A に結合したが、Ha-Ras のエフェクター領域のアミノ酸変異により結合は失われた。さらに、PLC210 は Ha-Ras による出芽酵母アデニル酸シクラーゼの活性化を競合的に阻害した。また、PLC210 の N 末端には出芽酵母 Cdc25 に相同性を持つ領域が存在した。線虫において PLC210 遺伝子をノックアウトしたところ、EGF 受容体 や Ras の変異株と一部共通する表現型が認められた。我々は既に PLC210 に相同性の高いヒト蛋白質 (X、Y、C2 および RA ドメインを持つ) を見い出しており、これらの新規 PLC 分子種が Ras または Rap1A のエフェクターとして線虫とヒトの間で進化を越えて保存されている可能性がある。