ABSTRACT 1358(P5-4)
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散発性甲状腺髄様癌におけるRET遺伝子体細胞変異: 内野眞也, 野口志郎 (別府野口病院)

Somatic RET oncogene mutations in sporadic medullary thyroid carcinomas: Shinya UCHINO, Shiro NOGUCHI (Noguchi Thyroid Clinic and Hospital Foundation)

【目的】昨年の本学会で,非家族性と考えられ手術を行った甲状腺髄様癌におけるRET遺伝子胚細胞点突然変異の有無について報告した.今回は散発性髄様癌であることが遺伝子的に証明された症例に対してRET遺伝子体細胞変異を詳細に検討した.
【対象と方法】散発性髄様癌40例のホルマリン固定材料および非癌部甲状腺組織あるいは末梢血を材料とし,DNAを抽出後、RET遺伝子exon10-16をPCRで増幅,塩基配列決定を行い,変異の有無を確認した.
【結果】40例中9例(23%)に体細胞変異を認めた.exon16の変異は2例に認められ、1例はcodon918に、他の1例はcodon918と919の2ヶ所に認めた. 2例にcodon634で体細胞変異を認めた.他の5例はいずれもこれまでには報告されていない変異で,1例はcodon766,884,908の3ヶ所に点突然変異を認め,他の4例のうち3例はそれぞれcodon 748, 876, 901の点突然変異であり,1 例は codon 898 から902 にかけて 12bp deletionであった.
【結論】散発性甲状腺髄様癌においては既知のRET遺伝子 mutation hot spot 以外にも変異が確認でき,遺伝性症例と散発性症例とでは mutation spectrum に違いが認められる.