ABSTRACT 1363(P5-4)
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プロテインホスファターゼ 2A の活性に影響を及ぼす蛋白性因子について:小原ひろみ,箸本英吉 (鳥取大・医・病態生化)

Studies on the modulator proteins of protein phosphatase 2A : Hiromi KOHARA, Eikichi HASHIMOTO (Dept. of Pathological Biochemistry, Facul. of Med., Tottori Univ.)

プロテインホスファターゼ 2A (PP2A)は、細胞増殖、分化の制御に重要な役割を担っている。しかし、in vivo におけるPP2A 自身の活性制御については不明な点も多い。また、細胞周期進行に対するPP2A の抑制的役割から、PP2A 活性化物質には発癌抑制効果が期待できる。我々がアフリカツメガエル卵母細胞の可溶性画分より精製した25kDa蛋白質は、p-nitrophenyl phosphate を基質として使用した in vitro の反応系において PP2A の活性促進作用を示した。続いて25kDa蛋白質に対する抗体に反応する 18kDa 蛋白質がウシ全脳の細胞質から検出、精製された。この18kDa 蛋白質は25kDa 蛋白質のN末端ペプチド抗体に対しても反応性を示した。この領域のアミノ酸シークエンスをもつ蛋白質の報告はなく、この抗体は25kDa 蛋白質に特異性の高いものであると考えられる。また25kDa 蛋白質、18kDa 蛋白質ともに耐熱性であり、しかも in vitro の反応系において三量体 PP2A1に対しては活性促進効果を示すが、二量体 PP2Aに対してはその効果を示さないといった共通性が見られ、きわめて類似性の高い蛋白であることがうかがえる。現在この二つの蛋白質の構造、性質、機能、生理的意義について解析を進めている。