ABSTRACT 1364(P5-4)
 ポスターセッション一覧 トップ 


食道癌に発現するチロシンフォスファターゼの探索:蕨 雅大、根本 哲生、明石 巧、大橋 健一、宇津山 正典、北川 昌伸、広川 勝いく東京医歯大学・医・感染免疫病理、同大学・病理部)

Study of expression of protein tyrosine phosphatase in human esophageal cancer: Masahiro WARABI, Tetsuo NEMOTO, Takumi AKASHI,Kenichi OHASHI, Masanori UTSUYAMA, Masanobu KITAGAWA, Katsuiku HIROKAWA(Dept. Pathol. Immunol. Fac. Med., Tokyo Med. Dent. Univ. Dept. Pathol., Tokyo Med. Dent. Univ.)

【目的】細胞のシグナル伝達を制御するプロテインチロシンフォスファターゼ(PTP)のヒト癌細胞におけるその発現と意義は不明な点が多い。今回の研究ではヒト食道癌におけるPTPの発現を検討した。
【材料と方法】食道癌培養細胞よりmRNAを抽出、cDNAを合成し,変性プライマーを用いてRT-PCRを行った。増幅されたフラグメントをベクターに挿入、得られたクローンの塩基配列をデータベースにより照合し同定した。同定されたPTPについて得られたDNA断片をプローブとして用いたノザン解析により、手術材料の癌部、非癌部におけるmRNA発現を比較した。発現が強く見られた、PTP1B,PTPD1,PTPH1についてはそれぞれのcaseの組織型、進達度、リンパ節転移との関連も調べた。
【結果および考察】8種類のPTPをヒト食道癌培養細胞において同定した(PTPRG、PTPκ、PTPε、PTP1B、PEZ、PTPH1、PTPD1、PTPMEG)。
同定されたPTPについて癌部、非癌部におけるmRNA発現を比較すると、PTP1BおよびPTPD1では癌部において発現が高くなる傾向が見られ,PTPH1については癌部において発現が低くなる傾向が見られた。このことからPTPが細胞増殖についてPTPが正にも負にも働きうることが考えられる。
PTPのmRNAの発現レベルと食道癌の分化度との関係については、PTPD1においては癌の分化度が高くなるにつれて、癌部での発現が高くなる傾向が見られた。今後、さらに多くの症例に関して同様の検索を行い、検討を加えたい。