ABSTRACT 1367(P5-4)
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消化器癌に発現する受容体型チロシンフォスファターゼSAP-1の接着依存性活性化と細胞増殖抑制作用:津田政広、的崎尚、稲垣健二郎、野口哲也、山尾卓司、高田俊之、武田仁志、越智深、福永馨、春日雅人(神戸大・医・2内)

SAP-1,receptor type protein tyrosine phosphatase, is activated by cell adhesion and mediates cell growth inhibition. : Masahiro TSUDA, Takashi MATOZAKI, Kenjirou INAGAKI, Tetsuya NOGUCHI, Takuji YAMAO, Toshiyuki TAKADA, Hitoshi TAKEDA, Fukashi OCHI, Kaoru FUKUNAGA, Masato KASUGA ( 2nd. Dept. Int. Med., Kobe Univ.)

〔目的〕SAP-1は大腸癌や膵癌細胞に発現する受容体型チロシンフォスファターゼ(RPTPase)で、細胞外に8個のフィブロネクチンtype-III様repeat、細胞内に1個のPTPaseドメインを持つ。その構造からSAP-1は細胞接着分子として機能し、またチロシンリン酸化シグナルにおいても何らかの重要な役割を果たしている可能性が想定される。今回、我々は細胞接着によるSAP-1活性化メカニズム、及びSAP-1の細胞増殖に対する作用について検討した。
〔方法及び結果〕SAP-1発現CHO細胞のライセートより、SAP-1細胞内領域に対するモノクローナル抗体で、SAP-1を免疫沈降し、その活性をpNPPを基質として測定した。SAP-1のPTPase活性は細胞密度依存性に、また細胞接着により上昇した。またNIH3T3細胞、CHO細胞にneo耐性遺伝子を含む発現ベクターに組込んだSAP-1を導入し、G418でselection後、colony数を測定した。SAP-1強制発現によりneo耐性colony数は約60%に減少した。COS7細胞やEGFreceptor発現CHO細胞で、EGF刺激依存性に酵素活性のないSAP-1c/sとEGFreceptorの共沈が認められた。
〔結論〕SAP-1は細胞密度依存性に、接着依存性にそのPTPase活性が上昇した。SAP-1強制発現により細胞増殖が抑制されることから、EGFも含めた細胞増殖因子により活性化されるsignal transuduction に関与している可能性が示唆された。