ABSTRACT 1368(P5-4)
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脳腫瘍におけるp16遺伝子およびPTEN遺伝子の異常:望月重信1,岩立康男2,田川雅敏11千葉がんセ・研・病理,2千葉大・医・脳外)

Abnormalities of p16 or PTEN gene in brain tumors : Shigenobu MOCHIZUKI1, Yasuo IWADATE2, Masatoshi TAGAWA1 (1Div. of Pathol., Chiba Cancer Ctr. Res. Inst., 2Dept. of Neurosurg., Sch. of Med., Chiba Univ.)

脳腫瘍の発生・進展には多数の遺伝子異常が関与すると考えられる。癌抑制遺伝子である9番染色体短腕に存在するp16遺伝子および10番染色体長腕に存在するPTEN遺伝子の脳腫瘍における異常を検討した。悪性度の異なる脳腫瘍63例(ependymoma 1例、oligodendroglioma 6例、astrocytoma (A) 10例、anaplastic astrocytoma (AA) 10例、medulloblastoma 1例、glioblastoma multiforme (GM) 35例)よりDNAを抽出し、p16遺伝子、PTEN遺伝子の全翻訳領域についてその変異をPCR-SSCP法により検索した。p16遺伝子では1例のA、1例のAAおよび6例のGMにおいて変異がエクソン1, 2領域に検出された。塩基配列を決定したところGMの5例においてアミノ酸置換がコドン41, 66, 106, 117, 134, 137, 143, 145, 146に生じていると考えられた。またGMの1例でアミノ酸置換を伴わない変異が、AおよびAA各1例ではイントロン領域の変異が認められた。PTEN遺伝子ではエクソン 1, 6領域に1例のAA、4例のGMで変異が検出され、遺伝子多型がエクソン4に認められた。また両遺伝子の異常が重複している例は認められなかった。以上のことより脳腫瘍の進展に複数の癌抑制遺伝子の異常が関与していることが示唆される。